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ものさし [日々]

ものさし.jpg
これはかつて
時間をテーマにした展示のために
作った物差しです。
長さは全て10㎝で作りましたが
100ある目盛りの一つの長さは
そこに書かれている言葉の内容によって
また見た人の感じ方によっても
違ったものになる
そんな意味を込めています。

たとえば
人が出会って、友人になるまでの物差しとか
鳥が落とした種から、新しい芽が出るまでの物差しとか
好きなものの数が、100を超えるまでの物差しとか
子供が、親と肩を並べるまでに成長するまでの物差しとか
全て違う内容で何十本か作りました。

一つの作品に、一つの物差しをつけて
内容は、お客様に選んでいただきました。

これは、残った一つ。
人の視点か?自然界の視点か?
はたまた宇宙からの視点か?
見方を変えると、感じ方も変わると思われる内容です。

このときあるお客様から質問をいただきました。

そのお客様は
私の個展へ、最初から欠かさず来て下さっていた方で
お会いした時には直接
お会い出来なかった時には
感想のお手紙を下さったり
ギャラリーの方へ伝言していただいたり
いつもとても丁寧に見て下さった方でした。

そしてその方の質問は
「物差しに書いてある文面を考えると、長さはみんな違うはずなのに
なぜ、物差しはどれも同じ長さなのでしょう?」
という内容でした。

私からの答えは
この物差しは、全て同じ長さですが
「一目盛りの長さを、どの位と判断するかは人それぞれだと思います。
だから物差しの長さを、私の基準で決める事は出来ないと考えました。」
そう答えました。

人の感じる長さ基準は
それぞれ違っていても不思議ではない
そう感じていたからです。
もちろん、同じであるべき事も沢山あるますが
違っても良い事も沢山あると思ったのです。
そこに書いてある文字の内容は特に。。。

そんなお話をした次の個展の時の事です
その方へお送りしたDMが、ギャラリーへ戻ってきました。
戻ってきたDMの住所の面には
「受取人が亡くなっているため」
と書かれた紙が貼られていました。
葉書に貼られた郵便局からの紙から
お一人暮らしだった事を始めて知りました。
ご高齢の方ではありましたが
いつも背筋をピンとのばして
張りのある声で話される方だったので
とても驚いたのと当時に
何とも言い表し様のない想いがこみ上げてきたのを覚えています。

手元に残っている物差しの文面をみて
その時の事をまた、思い出しました。


今もよく思います。
どのような基準で何をどう判断するか?
それはとても難しい事だと
だからこそ
測る事判断する事には、慎重になろうと。
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Copyright (C) Yuko Hosaka.
イラストレーター/銅版画家 制作のこと、日々のことなど

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