小舟 [銅版画]
町の片隅にある
草が生い茂る空き地には
小さな木の小舟がありました
舟はもう随分とそこにあったらしく
中に落ちた植物の種が、舟の中に根を張って伸び
すでに子供の背丈ほどにも成長していました
彼は時折
こっそりとその舟に乗り込み
ひとりでだけの時間を過ごしていました
その日もまた小舟に乗り込むと
厚い本を読み始めました
そこには心地よい風が吹き、静かな時間が流れていました
そして物語の世界へー
本を半分ほど読んだところでふと顔をあげると
いつの間にか舟は深い森を漂っていました
森は水に満たされその水面は滑らかで、どこまでも透明で
舟は滑るように進んでいます.....
銅版画/エッチング
どうしようか迷って放置した版画には
そんな物語が流れています。
さてさて。。。
いろんな版画を作りながらも時折
どうしたものかとそのままになっている版画があります
クマは小舟に乗って木々の間をどこへ行くのでしょう?
こころぼそくはないのでしょうか?
それとも、誰にも邪魔されない世界で読書を楽しむのでしょうか?
こうして
作った版画も、作りかけている版画も
そしてこれから作ろうとしている版画も
実は結構あって
いずれそれらもブログにあげていこうかと考えておりますが
まだまだ作り散らかすばかり...
さて、個展の予定についてですが、
来年は、東京国立のコートギャラリー1にて
2022/5/19~24の予定で、個展を予定しています。
今までより広い場所のため、またちょっと新しい試みも考えています。
国立の個展までには少し間が空くのと
少しやってみたいと思ったことがあり、今年中にもう一つ
来年予定している展覧会とはまた違ったものを
展示してみようかと考えてもおります。
それにつきましてはまた、お知らせしたいと考えています。
コロナが未だ収束せず
果たして終わる日が来るのかもまたまるで見えない中
どう進むのか?
あれこれと迷っていたのですが
少し先の予定から、目標を定めて進めて行くことにしました。
何れにしても先のことは何もわからぬもの
それは過去も今も、そしてこの先も同じ
ならばあれこれ考えすぎず
一つ一つ目標を決めていくのも良いのかなと
昨年からずっと、頭の中にもやもやとしたものがあって
制作するにも、迷ってばかりでしたが
なにやらストンと腑に落ちて
制作もやっと進み始めました。
物語が進み始めるのと似ているなぁ,,,と思ったり
木々に柔らかな緑が広がって
暖かな季節へと進みます
手に「楽しい」を握りしめ、版画をつくりたと思います。
2021-04-10 21:22
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