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まったりを探しに [版画]

サラリーマンズ凹と凸版刷り
oyaji.jpgサラリーマンズ.jpg
そして真夜中の自転車

自転車.jpg

こうして凹だの凸だのと
版画をあまりやらない人にとっては、なんのこっちゃ?
と言う感じの書き出しですが
凹版とは、へこんだところにインクを残して刷るので
描いたところに色がつきます。
対して凸版とは、いわゆる木版画などのように
凸の部分にインクを残して刷ります。
描いたところが白くなります。
銅版画の場合は、これらを強い圧力のかかる
プレス機というものを用いて刷ります。
凹凸が大きいものは、エンボスがくっきりと出る事になります。
そして紙にはくっきりと、版のアウトラインが残ります。

上のサラリーマンズの二つの刷は、色が違いますが
その両方で刷ってみたものです。
凸版は、ローラーを転がして色をのせ
すぐに刷る事ができるので、早く刷る事が出来ます。
対して凹版の場合は
ヘラで、インクが線の中まで入るように詰め
丁寧に拭き取っていくと、線や点のところだけインクが残ります。
そうして刷る事になるので、手間がかかります。
どちらが上で下でと言う事はありませんが、
凹版の方が、刷りに時間と手間を要します。

今回のように両方で刷れる版を作るためには
ある程度深めで、それでいて細すぎないラインと深すぎない溝の
線や点で構成されている版である必要があります。

と、かなり簡単な説明ですみません。
今回、12枚綴りのカレンダーを
版画で作ろうなどと考えたので
こういったシンプルな絵を、何枚も描いては腐蝕しています。

そして、そんな版づくりの途中には
見事に腐蝕に失敗した版も生まれてきて
一部貫通しているところもあるのに
ほとんど腐蝕されていないところもあり
ぼろぼろなのに、まったく上手く刷れない版が
出来てしまったりします。
家での腐蝕です。
うっかり一晩漬けた結果でした。

二鉄の仕業.jpg

何枚かの試し刷
この中からいくつかを外して、さらに他のいくつかを加える予定です。
長い道のり。。。。。

試し刷.jpg

ふとくたびれて、まったりを探しに行きたくなりました。
そんな時は唐突で気まぐれに
プラリと一人で出かけたくなります。
遠くに向かう電車に乗りたくなったり。

ただただ、田んぼとか畑とか
そこで実る作物に触れたくなります。
そこには、じっくりとした時間が流れている気がするのです。
手をかけ、愛おしむように育てられた命

一日を、細かく細分化して消費して行く毎日に
少し疑問を持ちながら
まったりを探しに。


追記
ある人の手記を読んで思った事がある。
自然の中で暮らす事を選んで、
こつこつと準備している人がいる。

私もかつて、そんな暮らしを望んでいた事がある。
でも出来なかった。
理由を挙げても意味が無いので書かないけれど。

「ああこの人は、本当にちゃんと根ざそうとしている。」
そう思った。

伴侶とともにこつこつと積み上げている。
その人の書く言葉の中には、流行とかおしゃれとか
そう言ったものと関係ない、羨ましい程の純粋さがあった。
そして才能がある。
流行には終わりがある。本物には終ら無い強さがある。

今自由に生きる事が、半ばブームのように見えるけど
自由は、自らの力で作り上げるものの中にしか無く
それはかなり、過酷であるということ。
協力者は現れるかもしれないけれど
それは無いものと思って進まなければ、なし得ないもろもろ
自由である事は
過酷で楽しい道程の先にあるのかもしれない。
そう思った。





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Copyright (C) Yuko Hosaka.
イラストレーター/銅版画家 制作のこと、日々のことなど

種々多様ものづくり作家

mail: yukohosaka939@gmail.com

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