たとえばこんなに [銅版画]
それは夢のように華やかで
ワクワクする世界が散らばって
夕暮れ時の薄桃色の空に
うっすらと月が揺れていた日
時間も音楽もリズミカルで
それは一体
いつの記憶だったのだろう?
あれは本当に目の前で
繰り広げられていた世界だった?
少し大人びた風を
装いたい頃の
曖昧な光景
眠りにつく前に
空想した景色
濃いめに入れた紅茶に
多めのミルク
そして
お砂糖をティースプーンに三つ
深夜に聞くのは
F.S.Blummの Zweite Meer
Langen
空から降ってくるのは
細かい細かい雨粒
心臓の鼓動にも似たリズム
空気は淡々と波打って
Blick
晴れた日のアスファルト
打ち水はゆらゆらと蒸発して
束の間景色を歪ませる
やがて
ゆがんだガラスのような
水面が現れる
甘いミルクティー
もうすぐ空が明るくなる頃
眠りにつくのが早過ぎて
中途半端に目覚めた時間
静かなひと時です。
2016-06-10 03:09
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